―浮気相手は私―





満員電車に揺られて、どうにかこうにか地元の駅までたどりつく。





酔っ払いのオヤジ。


騒がしい合コン帰りの会社員。


人目も気にせずイチャつく目障りなカップル。





涙は我慢すればするほどに、哀しみの色が濃くなる。



やっと流れ出ることを許された涙は、私の頬を伝い、赤茶色のレンガの地面に落ちた。





本当はどんな形でもそばにいたかった。


私だけを愛してくれないとしても、二度と会えないよりはマシだった。




すがりつきたかった。


やっぱりあんたが好きなんだって泣き叫んだ方がスッキリした。




かっこつけてさ。


『別にあんただけが男じゃないし』





そんなセリフが似合う女でもないのに。