「チョコ、持ってきた」
「俺に?」
「うん。安モンだけど」
「いいよ。鈴音が戻ってきてくれたから。それだけでいいんだ」
私が拓登を必要としていたように、拓登も私を必要としてくれていた。
拓登が・・・・・・
私だけを見てくれた。
拓登に愛されたいとずっと願っていた。
その願いが叶った。
「俺と離れている間、何かあったか?」
私は、綾とのことを話した。
そして、お父さんが毎月積み立ててくれていた結婚資金の存在のことと、お父さんがお母さんから頼まれたという成人式の着物の話をした。
目を潤ませて聞いてくれた拓登。

