「あら。鈴音ちゃん。遅かったわね」
バスローブを着るのをやめてほしい。
ラブホテルみたいで、虫唾が走る。
お父さんよりも年下だけど、私から見ればもうおばさん。
お風呂上がりなのに、化粧を落としていないのも気に障る。
イライラする。
どうせあんたも捨てられるんだよ。
いつか新しい女に乗り換えられるんだよ。
私は何度も見てきたから。
わかる。
お父さんが長続きする女はあんたみたいなタイプじゃない。
そろそろ飽きられる頃だ。
「佳世さんって化粧落としたら、誰だかわかんなくなりそうだね」
佳世さんは、また鼻歌を歌い、お風呂場の扉を乱暴に閉めた。

