「そんなに好きになれる人に、また会えると思ってんの?」
綾の鋭い質問に、私は首を横に振る。
もう会えない。
わかってる。
あんなに好きになれる人はもういない。
死ぬまで出会えない。
「わかってるなら、なんで何もしないの?このままでいいの?」
「もう・・・・・・拓登は新しい人生歩んでるんだもん」
「そんなの誰が言った?勝手に鈴音が思ってるだけでしょ?鈴音に捨てられて、案外落ち込んでるかもしれないじゃん」
「それはないよ。私と拓登の間には・・・・・・恋愛感情みたいなのは、なかった。絶対に」
拓登は優しかった。
いつも温かかった。
でも、それはかわいそうな子猫に優しくしてくれるような・・・・・・
どこか同情に近いものだったような気がする。

