「私、わかってるんだ。ファザコンなんだよ、絶対。小さい頃から、かなり年上のおじさんが、気になるっていうか・・・・・・学校の先生でも若い人じゃなく教頭とか校長とかの方が仲良かったし。多分、お父さんを求めてる。おっさんと一緒にいて落ち着くって感じてるのは事実なんだ」
「好き・・・・・・なの?」
私の問いかけに綾は、苦笑いを浮かべた。
「好きっていうのとは違うかもしれない。だって、私の好みって鈴音も知ってるでしょ?」
「うん。イケメン好きだもんね。オシャレで、背が高くて」
「そうそう。でも、あんなに汚いおっさんの方が一緒にいて安らげるんだよね」
一緒にいて安らげるってとても大事だと思う。
これは、拓登に出会ってから知ったことだけど。
私は拓登の顔や外見を好きになったわけじゃない。
確かにかっこいいと思ったし、見とれちゃうくらいいい男だけど。
もしも拓登が、かっこよくなかったとしたら・・・・・・
私は好きにならなかったの?

