「どんだけ泣くんだよ」
もう冷めてしまった缶コーヒーに手を伸ばした少年。
一口コーヒーを飲んだ後、呆れたようにまゆを下げて笑い出す。
「彼氏の浮気現場にでも遭遇した?」
歌声とは違い、話す声は男っぽくて大人びていた。
「うぅ……」
言い返す言葉もない。
「もしかして・・・・・・当たり?」
悪魔の微笑み。
嬉しそうに笑った少年は、またギターを弾き鳴らす。
「どうしてわかるの?」
「顔見ればわかる」
自信満々に答える少年。
「どういう意味?」
「お前の彼氏の気持ちわかるもん。ちょっとかわいいから声かけて付き合ってみたけど、付き合ってみるとたいして面白くもない女だから、もういいや~って感じ?」
ひ、ひどい。
それはあまりにもひどい。
だって、当たってる。
きっとそんな感じ。
私、中身なんて自信ない。
だから、あいつは私に本気にならなかった。
遊び相手には最適だったんだ。
本気になってもらえる女じゃない。

