「親父にも自分の気持ちを話すよ。お前も頑張ったから」



「そうだね・・・・・・一人で大丈夫?」



「ああ、俺は大丈夫。殴られるかもしれないけどな」





拓登が前に進むということは、私から離れていくということ。


それはわかっていた。




でも、前に進まないと拓登は幸せになれない。




「彼女と会えるといいね」



チクンと胸が痛む。



「そうだな」



痛んだ胸がズキズキと音を立てる。




「今度こそもう離しちゃだめだよ」




「はは。向こうが今も俺を想ってるとは限らないけど」





痛くて痛くて息ができないくらい。



苦しい。




違う人を想って微笑む拓登が憎い。





応援したいのに。



拓登の幸せを願っているはずなのに。






「鈴音のおかげだな」




握っていた手を離して、私の頭に手を乗せた。