誰と電話していたのかと聞くと、拓登は苦笑いを浮かべた後に、親父だよと言った。 「怒られた?」 「いや、帰って来いと言ってただけ」 もう帰る決意をしているように見えた。 「結局、帰るしかねーんだよ。俺は、あの人の息子なんだから」 何も言えなかった。 こんな時に、気の効いた言葉が思い浮かばない自分に腹が立つ。 公園のベンチに座って、拓登が買ってくれたジュースを飲んだ。 「で、お前はどうだったんだ?」 綾のお母さんとのやりとりを全部話した。