「連絡取りたいんですけど」
私の瞳には涙が溢れていた。
失いたくない。初めてできた親友を。
自分の弱さを見せることのできた最初の友達だもん。
玄関先に座らせてもらった。
お母さんが綾に電話をかけたけど、綾は出なかった。
「今日の夜電話があったら、連絡するように言っておくから」
綾のお母さんは申し訳なさそうな顔をして何度も謝った。
そのまま帰ろうと思ったけど、どうしても聞きたかった。
「何かあったんですか?」
しばらく考え込むような表情をした後、お母さんは寂しそうな顔をした。
「ひどいことを言うもんだから、叩いてしまったの。そしたら、家を飛び出した」
それ以上質問することができなかった。
綾のお母さんを泣かせてしまいそうだから。
私も泣いてしまいそうだったから。

