「はい?」
チェーンをかけたまま外を覗く綾のお母さん。
「あの、綾さんの高校の友達なんですけど、綾さんいますか?」
細い隙間から私の顔を覗く綾のお母さん。
やっぱり若くて美人で、パッと見た感じじゃ子供がいるようには見えない。
ガチャガチャと音がして、扉が開いた。
「わざわざ綾に会いに来てくれたの?高校のお友達?」
「はい。最近、学校に来てないので心配で」
綾のお母さんは思いだしたかのように微笑んだ。
「一度家に来てくれたことがあったわよね」
「はい!!綾さんは一番仲の良い友達です」
微笑んでくれた顔が、綾に似ていた。
でも、その顔がどんどん悲しい表情に変わっていく。
その悲しい表情も、綾が時々見せる寂しい顔にとてもよく似ていた。

