「離婚して1人で娘を育ててるんだけど、最近すれ違いばかりだと。どうしたらいいかと相談されたが、俺だってすれ違いばかりだから何もアドバイスはできなかった。彼女は、最近できた恋人と再婚を考えていると言っていた。でも、恋人ができたことを知った娘さんの態度が悪くて、ほとんど会話もない状態だと」
綾は勘の鋭い子だからすぐに気付く。
彼氏とデートの後のお母さんは、すぐにわかるんだって話してくれたもん。
「それを聞いて、俺も心が痛くなった」
お父さんは、うつむきながらため息をついた。
「俺は、鈴音と会話がないことを悩んでいなかった。父親なのに、反抗的な娘を見放していた。その娘さんは、お母さんに恋人ができるといつも反抗的になるらしくて。それを聞いて、俺も思い出したんだ」
