嘘だ。
大事にされた記憶なんてないよ。
「血のつながりもないのに?」
「生まれた時から育てているからそんなことは関係ない」
「大事なら、どうして今まで邪魔者扱いしてきたの?」
もう止まらない。
「邪魔者だなんて・・・・・・そんなことは思ったことないよ」
「嘘だ。絶対に邪魔だった。お父さんは今までに何人も彼女を作って、この家に連れ込んだ。私が邪魔だった」
さすがにここまで言われると、お父さんも何も言い返せないようだった。
黙ったままお茶を飲み、髪を触る。
「そう言われると・・・・・・何も言えない」
「佳世さんも嫌いだけど、その前の女もその前の女も嫌いだった。みんな私のことを邪魔者を見る目で見てた。ずっとずっと私には居場所がなかったんだよ。知ってる?」
もっと早く言えたら、何かが変わったかな。
それとも、変わったお父さんだから素直に聞いてくれるのかな?
昔のお父さんなら、ふざけんな!って怒鳴っていたかもしれないね。