「さっきな。夕食食べてる時に、昔の話になったんだ。こないだ話した、俺の昔の彼女の・・・・・・」
フーっと息を吐いた後、もう一度深呼吸をして、拓登は目を閉じた。
「親父は何もわかっていなかった。笑いながら言ったんだ。“あの子の家族は拓登に感謝してるだろう”って。俺は意味がわからなくて・・・・・・」
ひざに顔を押し付けて、拓登は涙を堪えた。
「もう時効だからいいだろうって親父が言ったんだ。俺・・・・・・何も知らなかった。親父は、リストラされた彼女のお父さんに、就職先を紹介していたんだ。その代わり、俺と別れてくれって・・・・・・ だから・・・・・・だから、彼女は俺に会わなかった」
彼女の家は、お父さんのリストラの影響でとても貧しかった。
ローンの残っている家を手放さなければいけないほどに追いつめられていた。
そんな状況で、彼女は自分の家族を見捨てることはできない。
拓登と別れることを条件に、お父さんに仕事を与えるなんて・・・・・・

