良かった。
私が変な勘違いをする前で。
私と拓登は結ばれるはずのない2人。
金持ちと、貧乏人。
もしも、もしもだよ?
拓登が私を好きになってくれたとしても、私達は結ばれない。
良かった。
これであきらめがつく。
「金持ちの婚約者でもいたりすんの?」
冗談っぽく聞いてみるけど、心臓はバクバクと音を立てていた。
可能性なんてない。
わかってんのに、どうしてドキドキすんだよ・・・・・・
私、こんな女の子みたいな気持ち、味わったことなかったよ。
「ははは。お前、ドラマの見すぎ!」
「な~んだ、いないの?」
「残念ながら、いねーな。いても、親が決めた相手となんか結婚しねーけど」

