私はあいつに救われた。



あいつと電話をしていると寂しくなかった。



あいつと会った夜は、ぐっすり眠ることができた。





あいつの心の中に自分がいることが嬉しかった。



あいつの心の中だけが、私の居場所なんだと信じたかった。





誰かに必要とされることがこんなにも幸せなんだって。


そんなことを知った恋だった。





結果的に、私はあいつから必要となんてされていなかったんだけど。





まぁ、いい。


それは置いといて。





ひとときだけでも、私はあいつに救われたんだ。



夜中に隣の部屋から聞こえる不快な声に耳をふさぎながら、私はあいつを想った。





“俺たちも隣の部屋でヤっちゃう?”



あいつはそんなことを言ったけど、軽く手を出してくるようなことはなかった。




また涙が溢れてくる。





優しいギターの音色のせいだ。




子守唄のように優しい声がギターの音に乗って、私の心へと届く。