* * * 気付けばあたしは部長のマンションの前に立っていた。 何度か通った場所。 彼の匂いのする部屋。 生活感がないのに、その雰囲気を閉じ込めた様な。 酔ってるのかもしれない。 婚約者さんと一緒かもしれない。 だけどあたしは真っ直ぐ彼の部屋に向かう。 会いたい。 もう、終わりでもいい。 『愛人にして下さい』 なんてチープなセリフ。 それ程、深い仲、なんかじゃない。 こんな関係、きっと限界。