「あるわけないじゃん」

あっさりと切る様子に少し笑った。


「どこかに出会いないかなー」


女同士が集まれば話題なんて愚痴か男の話がお決まりで、あたしと里穂も例にもれず。


「出会いがあったとしても発展はないでしょ」


あたしは卵焼きを口に運びながらまだ苦笑を止めない。


「あんたの場合はさー」

里穂は一旦区切ってからニヤニヤと笑う。


「いい男に目やられてんのよ」


言い切る言葉に、そのいい男が誰か、なんて容易に分かる。


「そうかもね」


その良い男だけに悩んでるんだけどね。



あたしは言えない言葉を飲み込んで、溜め息をついた。