こんな感情いらない。部長は望んでない。分かっているのに、感情は容易く本音を言いたがる。 「…キス、して下さい」 あたしは部長を見据えた。 「冴木?」 ずるい人。勝手な人。責めても責めたりない。こんなに好きにさせたくせに。 「…どうかしたのか?」 ほら、知らないふり。 「…なんでもないです」 あたしは平気なふりをする。うまくない、それでもこの瞳があたしを見つめる限りは、せめて気丈に。