「…知ってるか?和泉、受験すんねんで」

「…え?受…験?」


これも言ってないんか…

泣いていた羽生はいのつまにか泣き止み、ポケッと俺の顔を見ているだけだった。

「俺も受験すんねん。しっとうか?…私立の桜ヶ丘大学付属高等学院や。
桜ヶ丘もここと同じ、全寮制や。いくら家が近いゆうても、全寮制行ってもうたら、会われへんで」

放心状態の羽生の肩を、必死に揺らす。

お前と和泉がくっついてくれとかんかったら、俺はー…



「…私も行く。絶対いく!…左京くん、和泉には内緒ね?」

「…もちろんや。こんなこといわれへんわ」

「ありがとう」



そういって、彼女は俺の前を去っていく。


彼女の髪が風で揺らめき、その間に決心した




彼女の顔が見える。





その顔を見るたび、胸が痛む。




「羽生……好きや…。羽生…!」








恋が嵐を呼ぶ。








悲しい







嵐をー…