正之は元々やんちゃだったのもあり、妹の様に可愛がっていた私がこんな目に合ったからか桜を止めなかった。

『琉輝星。
車借りてもいいか?』

私を抱き抱える琉輝星に正之は言った。
琉輝星は無言で車の鍵を渡す。

『乗れよ』

髪を掴んだまま琉輝星のオデッセイに星愛を突っ込む。

私は琉輝星に車の中へ運ばれた。

どうするんだろ、と他人事の様に見ていると車は動き出し、30分ほどするとある場所に着いた。

山奥にある大きな広場。
幽霊がいる、やら言われて誰も近付かない場所。

桜は着くなり星愛を引きずり出した後、カバンからハサミを取った。
いつも持ち歩いているプリクラを撮った時に切り分ける為のハサミ。

ハサミを持って星愛の元まで歩いて行った。

『琉輝星‥文句ないよな?』

何をするか分かった琉輝星は戸惑っている。

桜は何も返事を聞かずに星愛の髪を鷲掴みにした。

『やめ‥―』

星愛の声も虚しく茶色の長い髪にハサミが入れられた。
ジャキジャキと生々しい音が響き渡り、あいつの自慢の長い髪は地面に散らばった。