何時間も経ち落ち着いた星愛は本棚へ向かう。

分厚い辞書と教科書の間から通帳を取り出す。

『‥‥‥10万か‥』

両親が死んですぐ琉輝星が作った星愛の通帳。

"いいか、星愛。
これに貯めたいお金を入れな。
いつか使ったらいい。"

それからずっと親戚の人に貰ったお年玉や入学祝いのお金を通帳に入れ続けた。

『‥‥‥‥‥‥』

そっと机からノートとペンを取り出し日記に思った事を書き、そっと部屋から出た。

――――初めての喧嘩と家出の事は書かずに。