「お嬢様」 コンコンとノックの音がして、メイドが入ってきた。 私はちらとそちらに目をやったあと、すぐに窓に視線を戻した。 「由良様がいらっしゃいました」 「………」 由良様。 私がこの屋敷に戻ってくる羽目になった最大の理由は、この人に関係してる。 しぶしぶ立ち上がり、重い足取りでメイドについていった。