「直樹がいるもの。何だってしてくれるよ、直樹は」
カイとは違って、と言って舌を出してきた。
「おかげで直樹という王子様を見つることができたしね」
「え、それほんと？」
「もちろん。まだ直樹には言ってないけど」
直樹のよさがわかるきっかけがあってよかった、そう言ってにっと笑ういたずらっ子の顔も昔と変わらない。
「まいったなぁ。俺はずっと七海から離れられないと思ってたのに」
俺がわざと残念そうに言うと、七海はふふんとこちらを見た。
「何言ってるの。私たちがずっと一緒にいるなんて、ありえないよ」
「確かにありえないね」
「そう、ありえないのよ」
七海はどこか満足そうに言って、うんうんと頷いている。
