「はい」 「え?」 おばさんが買ったばかりのリンゴを俺の手に押しつけてきた。 困惑していると、彼女はにっと笑った。 「七海ちゃん、リンゴ好きでしょう」 そう言って、おばさんが背を向けて行ってしまうのを気づかれないように見つめた。 同情なんかしないでよ、吐き気がする。 手の中にある赤い、つやつやとしたリンゴを眺めた。 これはきっと毒リンゴ。 渡したら、きっと彼女は死んでしまう。 カリッと音をたててリンゴをかじった。 甘い?苦い? 俺の気持ちがぎっしりと詰まった、毒リンゴは。