でもね。 昔から碧君の手は、いつもあたしより少し冷たくて。 それが気持ち良くて安心するんだ。 ――手の冷たい人は心が温かいから。 これは誰が言っていたんだったかな? ――手の温かいあたしは、心が冷たいの? ――ううん、手の温かい人は、心も温かいんだよ。 こんな子供騙しを 優しく笑って言ってくれた人は誰…… だったんだろう? 「ごめんな、愛姫」 遠くの方で、碧君の小さく呟く声が聞こえた。 本当だよ。 ねぇ、どうしてあんな事をしたの? ねぇ、どうして謝るの? ねぇ、碧君。