静かに走る車。 窓の外は、もう真っ暗で他の車のテールランプが眩しく感じる。 隣で運転する先生は、一言も話さない。 ねぇ、先生。 何を考えているの? 栗野君が自転車を取りに行ってくれると保健室を出て行った後、すぐに先生に手を引かれ先生の車に乗った。 学校の中の道を通っている時、借りた自転車を押す栗野君と目が合ったんだ。 凄く哀しそうな笑みを私に向けた。 その時、どうして私は『止めて』って言わなかったんだろう? 私の為に自転車を借りてきてくれた、栗野君に悪いって思ったのに。