午前中の授業が終わりどこかに行った榛。


まぁ…昼休みだからどこ(校内なら)に行ってもいいみたいだしね…。


榛が出て行った後の屋上は頗(すこぶ)る暇だ。


元々そんなに話す訳でもないんだけど…なんか屋上では榛といるのが当たり前になっていたんだよね…。



ココに来るとき持ってきていた包みを広げる。


フワッと甘い香りが鼻を掠(かす)める。


ん…いい香り〜♪


包みに入れていた一つを手にとって口に運ぶ。


入れた途端、広がる甘酸っぱくてキュンとするような味。


包みに入れていたのはタルト。


そして食べたのはタルトの中でもあたしが1番好きなベリータルト味。


甘くて切なくなるようなこの味があたしは好きなんだ☆


恋の味もそうなのかな?とかたまに考えてみたりする。



考え事をしながら食べていたからあたしは気づかなかったんだ。


あたしに当たっていたハズの陽がいつのまにか影になっていたことを…。


そしてゆっくりと伸びて来ていた手に…。


近すぎるほど近いあの人の顔に…気づかなかったんだ………。