あの空の向こうに

【転生ー27】


…………………………







その夜、祐平は手提げのバックに荷物を詰め、準備を万全に整っていた。







記憶を取り戻したワケではなく、予想だけで
すでに、頭の中では宇宙船の場所は特定したかのように準備を進める。







「…よし……
これでいつでも出れる…」







準備ができた祐平は横になり、次の日の朝を迎えることにした。







布団に入ると、今まで学校などの思い出が走馬灯のように蘇る。







そんな楽しかった思い出を抱き、祐平は深い眠りについていった……







……次の日の朝、
まだ外も夕暮れ時のように薄暗い中、祐平は机に向かっていた。







「……」







祐平は、両親宛てに別れの手紙を書いていた。







現実に考えたら、家を出てくと言うことは、
両親を悲しませ、警察にも捜索され、みんなに迷惑がかかるだろう。








だけど、止められない…







どうしても、ティナに会いたい…







例え両親を悲しませても、
友達に会えなくても、
家に帰れなくても…







それでも俺は、ティナに会いたい!







意志を固めた祐平は、手紙を机に置き、外へと玄関のドアを開けた。







「ニャア~~」







外には、寝ぼけ眼のハナグロがいた。









「ハナグロ……
じゃあな………
母さんや父さんを頼んだぞ…」






ワケの分からない顔をしたハナグロだが、とりあえず撫でられたので喜んでいる。







そして、祐平はハナグロの鳴く声を背中に受けながら別れを告げ、
街へと消えて行った…