あの空の向こうに

【転生ー20】


「私…いつも思ってた。
あの星には勝てないんだなって…
いっつも祐平見てるんだもん…」






薫は窓に近づき、少し悲しげな表情で星を眺めた。







「祐平の話は、おとぎ話みたいな話だけど、嘘をつく人じゃないって知ってるから。
それに、あの星を見てた祐平の目は、本物だったよ…」






祐平は、いつも学校で馬鹿なことをしたり、調子にのったりすることはある。






だけど、絶対に嘘はつかない。







薫は、そんなとこを好きになったから、それ自体を否定することはできなかった。






ここで「嘘」と否定をすれば、好きになった部分がなくなるし、
またこれが本当の話ならば、あの星に関わることは自分じゃ勝てないと分かっている。







「薫…ごめんな…
俺そこで……!」






言いかけた口を、薫は人差し指で止めた。






「全部話さなくていいよ…
多分これ以上は私が辛くなるだけだと思うから」






「…ゴメン……」






薫はバックを持ち、ドアの前に立った。





そこでフウっとため息をつく。






「……他に好きな人できたとかなら、絶対認めなかったけど、
あの星に関わることなら、私身を引くよ…」







「…薫……」







「でもね…
よく理由は知らないけど、
あの星のこと忘れたら、私のとこに戻って来て…
学校とかで、他の人とは付き合っちゃ駄目だよ」






そんな言葉に祐平は、薫と約束を誓った。






「…分かってるよ。
約束する」






それだけ約束すると、薫は外に出て家に帰って行った。