【時を越えてー9】



「ごめんなさい!!
私……!!!私……!」







その顔は、やはり涙で表情が崩れていた。







そう……
サラはティナの転生であった。







今までずっと隠していたのも、全て祐平の為…

祐平には帰るべき故郷や家族がいるから、サラは正体を明かさずに、祐平を地球に帰したかった。







だけど、祐平の必死の呼び掛けに、溢れ出した感情が抑えられなくなってしまったのだ。







「レオン!!
私、嬉しかったんだよ!!
アナタがこの星まで来てくれて…!
一生懸命探してくれて!」







宇宙船から祐平は、目に涙を溜めたサラを必死で見ていた。







「本当に嬉しかった!!私の事気付いてくれたのも本当に嬉しかった!
だけど、アナタには故郷に大切な家族がいる!
だから……!だから……!!」







涙ながらに訴えるサラ。






祐平も涙を流している。







「本当に、私の勝手でごめんなさい!!
レオン…………誰よりも愛しているわ!
レオーーーーン!!」






そして、ついに宇宙船の瞬間ワープが始まってしまった。







「うわああああ!!!!!!!
ティナーーーーーーーー!!!!!!」






バシュン!!!








その声と共に、宇宙船は姿を消したのだ。







……………







辺りは、また森の静けさが戻った。







シュナウザーのいなくなったこの星での初めての叫び声。
それは強く切ない愛の叫び声だった…