【星を眺める少年ー1】

夜空を見ると、いつも決まって同じことを思う…



自分は何か大事なことを忘れていないのかと。



遠い遠い昔の記憶が、頭の中で忘れ去られてる。


彼は、毎日がそんな気持ちでいっぱいだった。



彼の名前は稲葉祐平(いなばゆうへい)。17歳。



現在、高校二年生のごく普通の男子生徒である。



そんな彼の趣味は、毎晩星空を眺めること。

…といっても別にロマンチストとかではなく、何も考えず星を眺めているだけのこと


彼は思い出せない「何か」を思い出すために、星を見続ける。



前に事故があって記憶を失ったとか、そんなんじゃない。



ただ何か忘れてるような気がしてならない




「何か、とても大事なことを忘れてるような…」


祐平はポツリと呟いた