「あ~もしもし、直?後でまたかける。」


普段は教官室に置いてある携帯が、先生のポケットの中で鳴った。


「新垣先生、今の電話彼女ですか?」


ここに他に誰もいなくて良かった。

2人きりの秘密の話。



「おぉ…内緒だぞぉ!」


新垣先生は、照れた表情で携帯をポケットに直す。



「ねぇ、先生の彼女の名前、『なお』って言うの?」


「あぁ…それも内緒な。」


内緒って言われるたびに

胸がときめくんだ。



「どんな漢字?」


「素直の『直』って一文字。」


先生は指で直って漢字を書く。


「私も一文字だ~!!一緒だよ、先生。」


私は、新垣先生の背中を叩く。



「あ…優だよな。優柔不断の『優』…」


そう言うと、新垣先生は笑い出す。


この楽しい時間がずっと続けばいいのに…



「ごめんごめん、嘘だよ!優秀の『優』だな。」


新垣先生は、プ~っとふくれた私の肩を叩いた。


面白いからもっとふくれてみた。



「あ~ごめんって!!優しい…の『優』だよ。名前の通り沢渡は優しいからな。」


新垣先生は、サラリとそんなセリフで

私の胸を熱くさせる。



今年言われて嬉しかったセリフランキング1位…