ちらっと菜美が視線を向けた先には、笑顔で友達と消しゴムを投げ合う姿。


新垣先生に失恋した菜美の気持ちを少しずつ自分に向けさせたんだ。


「涼介が、先生を忘れさせてくれたんだぁ…」


菜美の視線に気づいた涼介は、子犬のように菜美に向かって走ってきた。


「菜美、今日も一緒に帰ろうな!」



恋が人を変えるんだ。


この涼介も、以前とは別人のように男っぽくなっているように見えた。



菜美と付き合うまでは、まだ男の子って感じだったのに…



お揃いのストラップがポケットから見えた。

2人のポケットで揺れる十字架のストラップ。


「優、あんたも頑張ってね!」


菜美は私の頭をポンと叩いて、涼介と廊下へ出て行った。