私は、まっ先に新羅の教室へ向かう。


何度来ても、違う学年の教室は緊張する。


まして、私を待ってはいない人の元へ向かうのは緊張が半端じゃない。



みんなの前で、避けられたらどうしよう。

話すことなんてない、と言われたら、何と言えばいいんだろう。



私のクラスと違って、男女が仲の良い新羅のクラス。

新羅の机の周りには数人の男子が集まっていた。

雑誌を広げながら、何やら楽しそうに話していた。



「新羅!!」


緊張のせいで、思わぬ大きな声が出た。



「あ!新羅の愛する先輩が来たぞ!!」


新羅の机に肩肘をついた男子が冷やかすような声で叫ぶ。



愛する?



その響きに涙が出そうだった。



「うるさい!!長田!!」



新羅はその男子の頭をはたいて、私をゆっくりと見た。