薄暗い下足室には誰もいない。 それもそのはず。 今はちょうど一時間目の真っ最中。 こんなに静かな下足室は初めてだった。 上靴を地面に投げると、その音だけが響いた。 古びた靴箱を閉めると、キィーーーーっと変な音がした。 深呼吸をひとつ… 息を大きく吸って、吐こうとした瞬間… 私の胸の奥をキュンとさせる声… 運動場から聞こえる大好きな人の声。 教室は運動場から遠いから、なかなか聞こえることがない。 こっそり、運動場を覗くと… 新垣先生が、笛を口に挟みながら腕組みしている姿が見えた。