新垣先生の癖がいつの間にかうつっていた。



先生はよく空を見上げる。


腰に手を置いて、空を見るその横顔が好きだった。




学校へ向かう道…


ふと立ち止まり、空を見上げた。

秋の空。

朝の空。



見上げると、涙がこぼれそうになる。




青い空を見ても

そこに見えるのは新垣先生の笑顔だった。




小高い丘の上から、街を見渡した。


遅刻は決定的。


今更走ってももう、間に合わない。



もう、いいか。



今日は、のんびり行こう。





私は、錆びた鉄の手すりに手をかけて、大きく息を吸い込んだ。


すぅーーーーー

ふぅーーーーー



空気が美味しいと思ったのは

生まれて初めてだった。






いつも何気なく吸い込んでいる空気。




都会でも、こんなに美味しい綺麗な空気があるんだ。