「誰にも言わないで…」
菜美は涙を流しながら、強い目で私を見た。
保健室には私たちしかいなかった。
保健の先生が、お茶を入れてくれて…
私は菜美と本音をぶつけ合うことができた。
「昨日、告白したんだ。実は…内緒だよ」
私は、一瞬誰に告白したのかわからなかった。
クラスの男子…?
それとも…
「やっぱ、いいね。新垣先生はいい先生だよ。きっちりとフッてくれたんだ。だから、私…前に進むことができた。」
菜美の口から先生の名前が出て、私の心臓は激しく高鳴る。
先生…
フッたんだぁ。
「ずっと、私を好きだと言ってくれてるヤツがいてさ…なんかかわいそうになってきちゃってさ。今は、まだ新垣先生を忘れられないけど、そのうちきっとあいつを好きになれると思う。」
私は何も言わずにただ、菜美の綺麗な髪を眺めていた。
みんないろいろあるんだ…
私だけじゃない。
辛いのは私だけじゃないんだ。

