こころと呼ばれた人は、ソファで非常にくつろいでいる。

私と夕月さんはというと、リビングの入口に立って呆然としていた。


「夕月、麦茶持ってきてー」


夕月さんは渋い顔をしながら、グラスに入った麦茶を持ってきた。

こころさんは嬉しそうに受け取ると、少し飲んでほっとした顔になった。



…誰?
もしかして、夕月さんの彼女かな?
美人だしあり得る…


「これ、姉さん」


私の気持ちを察したかのように、夕月さんがこころさんを指さして言った。



お姉さん!?



と思ったと同時に、こころさんは夕月さんの頭をバンとクッションで…殴った。


こ、こわい~



「人のこと指差しちゃいけないって、お母さんに教わったでしょ」


夕月さんを思いっきり睨んだあと、
私のほうに顔を向けた。

まるで今気づいたばかりのように。


「あら」


私の顔をじっと見て、にこりとした。


「あらあらあら」


こころさんがソファから立ち上がって迫ってくるので、私は思わずあとずさってしまった。


「夕月の彼女?」