「美緒……」
「お土産はメープルシロップがいいって言ったの。でも夕月さんのことだから、蜂蜜なんか買ってきちゃいそう」
だって夕月さんだもん――――
「美緒!莉沙ー!」
教室に入ると、私たちに気づいた女の子たちが手を振ってきた。
はは、みんな焼けてる焼けてる。
私もみんなから見たら焼けてるんだろうなぁ。
「あっこー!久しぶりっ」
莉沙があっこのところに駆けていき、私は自分の席に座った。
久しぶりに撫でる机の感触に、得体の知れない感覚が襲った。
「木原」
机の上に影ができて、私は顔をあげた。
声でわかっていたけど。
「綾香」
「久しぶり…ってわけでもないけどね」
綾香はにこっと笑って女の子たちをオトすスマイルは、今日はやけに眩しい。
てか、何しに来たんだろう。
同じクラスじゃないよね。
あれ、この人何組だっけ?
「木原さん、改めまして話があるんだけど」
スマイルのままでのその喋り口調に、嫌な予感がした。
「私はないので~…」
嫌だ!
こいつの変な企みに引っかかるわけには……!
そう言って席を立とうとすると、ガッと腕を掴まれた。