「おっはよー美緒!」


「莉沙!ちょっと焼けた?」


「何言ってんの!焼けたも何も、よく顔合わせてたじゃない!それに私は焼けてません!」


「はいはい」


まだまだ暑い日差しが降り注ぐアスファルトの道。

ツクツクボウシがどこかで鳴いてる。


私たちは約1ヶ月ぶりに学校へ続く道を歩いていた。



そう、今日から新学期。


きっとクラスのみんなは、知らず知らずのうちに焼けた肌を披露してくれるんだろう。


白い猫が塀の上を気だるそうに歩いている。


「…ねぇ。夕月さん、行っちゃったんだよね……」


「うん」


莉沙が気遣わしげに尋ねてきた。

きっと私が落ち込んでると思ってるに違いない。



夕月さんが旅立ったのは昨日のこと。

私は最後まで側にくっついてて、見送ったその足で家まで帰ってきた。


お母さんと、弟の優也が待つ家に。


「そっか…、じゃあ……」


「いつか帰ってくるって。今の時代カナダがそんなに遠いところってわけじゃないし、痺れを切らしたらこっちから会いに行っちゃおうかな」