だから私も仕返ししてやる。


「あのスープ…、おいしかったです」


思惑通り、夕月さんはちょっと赤くなって目を逸らした。


「私以外の人に、作ったりしないでね」


「当たり前だよ」


くしゃくしゃ頭を撫でられて、照れてるんだとにやつくとぷいと顔を背けられた。


カワイイ。


これじゃきっと、カナダに行ってもモテモテかもだよね……


途端に心配になってきて、私は少し俯いた。


「向こうで綺麗なお姉さんから胃袋つかまれたりしないでね」


「しないよ」


「夕月さん素敵だから可愛い女の人に言い寄られたりしたら私……」


「何バカな妄想してんの。美緒こそ」


私はぱっと顔をあげる。



心配?


心配してくれるの!?



「可愛い女の子に言い寄られたりするなよ」


「どーゆーこと!?」


そこは男でしょ!

どんな心配!?



ぱかっと口を開けていると、
夕月さんはにやりと口角をあげた。


「特にあの綾香ちゃんとかいう」


私はちょっと顔が引きつる。



あ、

あ~、そ、それ?

私が嘘ついてたこともしかしてまだ根にもってる?



一応敵視してたんですね……