私からすべてを聞いた莉沙の反応は、予想通りというかなんというか、また騒ぎ始めてしまったから綾香と二人で落ちつかせなければならなかった。






「はあ……」


莉沙の質問攻めから逃れるようにして塾を出て、私は盛大なため息を吐き出して帰路についた。

落ち込んでる間もなかったから塾にいるあいだは平気だったけど、こうして何もすることもなく歩いていると嫌でも思い出す。


夕月さんと別れる日…、


こうしている間にも刻々と過ぎていってる。


だからなるべく夕月さんの近くにいたいというのに、莉沙から逃げてきたせいで夕月さんを待っている暇はなかった。


だから一人で帰っているわけで……



自ら夕月さんの近くにいる時間を割いている自分にため息。


バカだなぁと思いつつも、今夜の晩ご飯のメニューを考えるために動き始める私の脳。

こうやってご飯作るのもあと少しなんだよね……



生温い風に吹かれながら
センチメンタルに浸っていると


「ひゃっ」


急に腕を引かれて、小さく悲鳴が出た。


何何何!?

いきなりっ……