かぽーんと口を開けている私に、莉沙も驚いた表情で目を向けた。


その目がうそうそ本当に?と言っている。


イエス、本当に。


こくりと頷くと、莉沙は一瞬気が抜けたような顔をしてから、いきなりきゃああっと声をあげ、机をバンバン叩き始めた。


一気に教室中の視線が集まる。

私は焦って机を叩くのだけでも止めさせようと手を掴んだ。


「ちょっと莉沙何やってんの!」


「いやーっ!いいじゃんいいじゃん何なの何なのーっ」


明らかに喜んでいる莉沙。

綾香はドン引き中。


「それで美緒は夕月さんに恋したってわけね、最高!」


だからなんで全部わかってんのよ!


悶える莉沙をこのまま教室にいさせるわけにはいかないと、慌てて廊下に引っ張りだすと綾香も当然のようについてきた。



次の授業はサボリ決定。

ドリルやらプリントやらが山積みにされた資料室に莉沙を押し込んで、ドアをきっちり閉めた。


莉沙も少し落ち着いたらしく、まだ変なニヤニヤ顔をしているけど一応冷静なようだ。


詳しく話してもらおうじゃないの、と変な顔のまま偉そうに腰に手を当てて言ってきたから、少しイラッとした。

でも黙ってた私が悪いんだからと思い直して、ひとつ息を吸って口を開いた。


「あのね……」