いきなり体が宙に浮いて、空が見えた。
腰と膝のうしろに感じる強い腕。
私…抱えられてる!
「ちょ、何すんですか!おろして!」
私は腕と足をバタバタさせて抵抗したけど、そんな抵抗はものともせずに私を助手席につめこんだ。
すばやくシートベルトをさせると
急いで運転席に乗り込み発車した。
降りる隙もない。
「これじゃほんとにゆーかいですよ、ケーサツに訴えます!」
「家まで送り届けるのに、どこが誘拐だっていうの?」
しれっとした顔でハンドルを握っている。
確かに。
私の家に行くんだから、何の問題もない。
全然ない。
「歩いて、帰れますから。おろして」
何かイライラした。
「もう乗ってるんだし。とまるのめんどくさいからダメだって」
完璧にこの人のペースだ。
何この人!
私が諦めて座席に深く座り直すと、満足したようだ。
「…で、話って何ですか」
もう降りる気はなかったのでそう切り出すと、男の人はああ、と言った。
「俺は君の兄です」
……え?俺?
兄?
「え!?どういうこと…ぶっ」
車が急ブレーキをかけて、私の体は大きく前に傾いた。
「はい、着いたよ。続きは明日、ちゃんと俺のとこに来たら話してあげる。じゃあ、明日迎えにくるから」
さっさと私を降ろすと、手をひらひらさせて車を発進させてしまった。
私は唖然とした。
あの人が私のお兄ちゃん………?
どういうこと!?



