マンションに戻り、部屋のドアを開けようとすると、夕月さんがあれ、と鍵を引き抜いた。


「開いてる…」


え!?


「そそそんなまさか!」


確かに締めたはずなのに!?


ま、まままさかドロボー!!


青ざめながら夕月さんを脇に押しやり、ドアノブを引くと。


「おっかえり~!」


「ぅわっ!?」


開けた途端に抱きつかれ、薔薇の香りが私を包む。

顔は見えないけど、この香りで誰だかわかった。


「こころさん?」


「あたり~♪」


こころさんは私を解放し、今度はニコニコと頭を撫でてきた。


「久しぶり~、会いたかったわ、私の可愛い美緒ちゃん」


こころさんが綺麗な顔を私に近づけて、目を細めて嬉しそうな顔をした。


わー、キレイ、こころさん。

まるで絵に書いたような……


「ナンデアカクナッテンノ?」


ぽーっとこころさんに見とれていた私は、夕月さんの声に我に返った。

夕月さんが変な目で私を見てる。


誤解です!

女の子でもつい赤くなっちゃうような綺麗さなんですー!!