「あのプリント課題、ビィのために出したんだよ」


「え」


「あのあたり苦手だろ。だからわざと」


「………」


「それに、ビィが家で解いてれば教えてあげられるし」


「……、いいんですか、それ」


私一人のためにみんなを巻き込んでしまっていることになる。


それってまずくない?

ヒイキじゃない?


「大丈夫大丈夫。バレないよ、ビィが誰かに言ったりしない限りね」


「ん~…」


確かにそうですけど。


複雑な顔をしていると、夕月さんは私の顔を覗き込んできた。


う、わぁ……!

近い!


かなり近い距離にある夕月さんの顔に、心臓は過剰に反応してバクバク鳴りだした。


「な、に?」


顔は赤くなってるはずだけど、もう空に星が光ってるから、暗さで誤魔化せてる…と思う。