あわあわと慌て始める私を見て、莉沙は呆れた目をしている。


「まったく、浮かれちゃってるんだから」


さっきまで私よりはしゃいでたのはどこのどいつよ!


「俺が守ってやるよ。実は俺と付き合ってるってことにしたらどう?」


「余計ややこしくなりそうだから遠慮させてもらう」


どさくさに紛れて変な提案をしてくる絢香を適当にあしらって、とりあえず授業が始まるまで身を隠そうと机の下に潜り込んだ。

この机は学校のと違って前と横が教卓みたいに板で覆われてるから、後ろから見られない限り見つからないはず……


「ねぇ」


と思ったらすでに見つかってた……


後ろから声をかけられて、潜り込む途中のポーズのままぎくりと固まった。

恐る恐る後ろを振り返ると、昨日私と夕月さんが一緒に帰ることを咎めていた女の子が、数人従えて立っていた。


「は、はい…?」


もしかして、呼び出し?


人気のないところに連れてかれて、集団リンチ?


なんて青ざめながら身構えていると、厳しい顔つきだったその子の表情がすっと変わった。