「で、どうなったの?昨日」


また三人で塾まで行き、席に着いて早々莉沙が尋ねてきた。


「どうって」


莉沙が私を裏切って先に帰っちゃったから分からないんじゃん。

ちょっとむくれつつも、それでは大人気なさすぎるから文句を言うのはやめた。


「たいしたことじゃ…ないんだけど」


私が口を開けば、莉沙はうんうんと頷きながら身を乗り出してきた。


「それでそれでっ?」


「…それで」


抱きしめられたよ!



なんて




言えないよー!



カアァッと顔を赤くすると、莉沙は目ざとくそれを見つけてにやーっと笑った。


「赤くなってる!何かいいことあったんだね!やらし~」


や、やめてよ!
そんな風に言うの!


私は慌てて莉沙の口を塞いだ。


「やらしくないっ」


と莉沙に反抗していると、背中にぽんと手が置かれた。

いきなり置かれたので驚いて振り向くと、そこには綾香がいた。


「何?やらしーことしたの?アイツと?」


「なっ!だから…」


「そうだよ綾香くん!夕月さんといいことあったんだってさ!」