私はその光景をぽかんとして眺めた。


「すご……」


女の子達のアピールも相当のものだけど、莉沙の根性もなかなかのものだ。

めげないくじけない、さすが莉沙。


「ほーんと、すごいよね」


横から私の漏らした言葉に同感する声が聞こえてきて、ぱっと振り向いた。

私はその人物を確認し、ただただ目を見開いた。


「絢香!?」


「やっ♪」


どうも、と言って笑顔で手をひらひらさせている制服姿の少年。


「どうもって…どうして絢香がここにいるのよ!」


「いちゃいけない?俺ここの塾生ですけど」


え、と眉をひそめると、絢香はにやりと笑って私の髪に指を巻きつけた。


「莉沙ちゃんに聞いたから、俺も入ったの」


…やっぱり!


私は指を巻きつけてきた絢香の手をピシリと打ち払って後ろに飛び退いた。


何を聞いたのか、なんて、聞かなくてもわかる。


『スパイ』の莉沙をちらりと見やるとまだ女の子達と争っている真っ最中だった。