「夕月さんカッコイイからこれ見た女の子達絶対絶対ほっとかないよ!塾の子達とか狙っちゃうんじゃない?ま、CM出る出ない関係なく狙うと思うけど!モテモテのお兄ちゃんがいるなんて大変ね~、絡まれちゃうかもよ!」


妄想爆発中の莉沙は脳内混乱中の私に容赦なくペラペラと喋り続ける。

私は相変わらずテレビの前に座りこんだままだ。


「それにそれに~、もし人気なんか出ちゃったりしたら塾のCMだけじゃなく他のにも!ってなっちゃうかもしれない!あと」


「~~~っ、やめてやめて!それ以上言わないでーっ!」


更に続けようとしていた莉沙の口をガバッと押さえて遮った。


莉沙は口を押さえられて目をパチクリさせている。


私は莉沙の口を押さえていない方の手でテレビをビシッと指した。


「決めた!私この塾通う!」


ええっ?と私の手の下で莉沙が言った。

手を離してやると、ふぅと息を吐いてから私をじっと見た。


なぜかその瞳が潤んでいる。


「……?」



もしかして、苦しかった??



謝るために頭を撫でようと手を伸ばす。


「苦しかった?ごめ……」


しかし様子が違うことに気づいて、伸ばしかけた手をはっと引っ込めた。